中絶をお考えの方へ
身体的、社会的な事情があって妊娠の継続を断念する場合、中絶手術や娩出などが必要になります。お身体だけでなく、お気持ちへの負担が大きくなる可能性がありますので、パートナーやご家族をじっくり話し合うことが重要ですが、判断に迷う場合やお身体への不安がある場合にはご相談ください。
婦人科診療ではデリケートなトラブルを扱うことが多いため、当クリニックではプライバシーに配慮した診療を行っておりますので、安心していらしてください。パートナーやご家族、ご友人などを同伴されてご相談にいらしていただいても構いません。
妊娠の継続を断念される場合は、医師だけでなく当クリニックのスタッフ全員で患者様のお気持ちに寄り添い、支えていきます。お身体の負担だけでなく、お気持ちの負担にもきめ細かく配慮しておりますので、お一人で悩まずにご相談ください。
母体保護法について
中絶手術は母体保護法という法律により、都道府県が指定する医師(病院)が行うものと決められています。日本では『母体保護法』に沿って人工妊娠中絶手術が行われており、女性が中絶の要件に満たしているかどうかについては、『母体保護法指定医』である医師によって判断されます。『母体保護法』では、母体の生命健康を保護することを目的として不妊手術や人工妊娠中絶手術に関する事項が定められています。
『母体保護法指定医』は、医師の人格・技術・病院の設備を考慮して都道府県医師会が指定した医師(医療施設)のことで、母体保護法に基づく手術は母体保護法指定医のみが行えることになっています。当クリニックは母体保護法指定医の認定を受けており、妊娠14週までの中絶手術を行っています。
中絶を受けられる時期
当クリニックでは妊娠14週6日までの中絶手術を行っています。将来のこと、パートナーとの話し合いなどで迷う方、気持ちの整理がなかなかつかない方も多いのですが、妊娠の継続を断念する場合、できるだけ早い時期に中絶手術を受ける方がお身体への負担が軽くなります。
14週までの手術を行うこともありますが、12週を過ぎると死産届の提出が必要になるなど心身両面でのご負担が増えてしまいます。迷いがあって判断が難しい場合には、1度ご相談にいらしてください。
未成年の方へ
母体保護法第14条では、14歳以上であれば未成年でも手術は可能であり、患者様ご本人と胎児の父親の双方が未成年であっても、両者の同意があれば人工妊娠中絶手術は適法だとみなされます。ただし、当クリニックでは手術承諾書に保護者の同意の署名と捺印をいただいてから手術を行っています。
痛みを考慮した日帰り中絶手術
中絶手術を行う際に、痛みについて気にされる方は少なくありません。現在は医療技術や麻酔法の進歩もあり、ほとんど痛みを感じることなく手術を行うことが出来ます。
中絶手術は全身麻酔下で行いますので、当日は絶食していただく必要があります。
静脈麻酔について
中絶手術には静脈麻酔を使用します。静脈麻酔の効果によりほぼ眠った状態になりますので、痛みを感じることはなく、記憶も残りませんので、安心して手術を受けていただけます。
静脈麻酔は中絶手術以外にも、外科手術や内視鏡検査を行う際にも用いられます。手術中は全身状態を確認しながら麻酔をコントロールしていきます。
ただし、静脈麻酔を使用した場合は、当日お車や自転車の運転はできませんので、お気を付けください。
当院の手術方法について
妊娠14週6日までの初期人工妊娠中絶手術は、掻把(そうは)法と吸引法の2種類に大きく分けられます。
どちらにもメリットとデメリットがありますので、当クリニックではデメリットをできるだけ減らして安全性の高い手術を実現するために、両方の手法を取り入れたハイブリッド手術を行っています。
掻把法
子宮内部から内容物を掻き出すように取り去る手法です。感染リスクが低く、細長いスプーン状のキュレットやはさみのような胎盤鉗子などで簡単に行えるため、長く用いられてきています。
吸引法
吸引器という機械を用いて子宮の内容物を吸い出す手法で、手術時間が短縮できます。初期の手術には適していますが、妊娠週数が増えると難易度が増していくため週数によってはこの手法を使えない場合もあります。
掻把法と吸引法の組み合わせた手術
はじめに掻把法で子宮の内容物をある程度処置し、吸引法で残されたものをきれいに除去します。掻把法では細かい部分を除去する際に子宮を傷付けるリスクがあり、吸引法では長く強力な吸引を続けることで微細な血管からの出血リスクがありますので、こちらの手術方法では両方のリスクを最小限に抑えることができます。手術の所要時間は5~10分ほどと短時間で手術が行なえます。